極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜
今は背もグンと伸び百六十五センチで体重は平均的。髪はロングでラベンダーアッシュに染めていて、化粧っけはほとんどないけれど昔揶揄われた太ったブーブは面影もないはず。

幼いころの私を知っている親戚にも今の姿からは想像が出来ないと驚かれるのに、一目見ただけで私だと分かる朝日くんの記憶力はどうなっているのか。

「どうして私だって分かったの?」
「分かるよ。いつもニコニコしてるところは昔と変わらないから」

それだけで分かるもの?
仲の良かった友達の中でも特に親しかった朝日くんには分かるのかな?

逆に昔の朝日くんは髪は金髪に近い薄茶色で、頬もふっくらとして私より背も低かった記憶がある。

なのに今、目の前にいる彼は髪はやや茶色いものの黒っぽく、輪郭もシャープで男らしくなり背だって私より二十センチ以上も高い。

唯一昔と変わらないのは、優しそうな目元に長いまつ毛とエメラルドグリーンの瞳だけだろう。

――そうか。
この瞳を見たことがあると思った記憶は、朝日くんだったんだ。

と、そんな偶然の再会に感動している場合ではない。
いくら幼なじみとはいえクリームをぶち撒けておいて簡単に許される筈はないだろう。

「朝日くん、とにかく弁償を――」
「それより久しぶりに会えたことだし、いつか一緒にお茶でもどう?」
「お茶くらいいつでも。そうじゃなく……」
「じゃあ、とりあえず連絡先交換しよう」

そう言われ連絡先を交換すると「俺これからまだ仕事あるから、また連絡する」と言い残し、爽やかな笑みを残し颯爽と去って行ってしまった。

私は久しぶりに会った幼なじみとの出会いに感動する余裕もなく、ただ呆然とその場に立ち尽くしているだけだった。
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