マスカレードknight ~サンタ マリア~
Santa Maria
一弘(かずひろ)さん、明里(あかり)さん、ご結婚おめでとうございます!』

タキシード姿の津田(つだ)さんの隣で、純白のウエディングドレスをまとったわたし。頭の上にはティアラが乗り、花嫁っていうよりどこかの国のプリンセスになれたような、自分のことなのに仮装でもしてるような。

お父さんも弟のナオも妹のユカも、津田さんの両親や弟さん達も綺麗だって褒めてくれた。ナオなんて泣いてた。泣き笑いで『もう思い残すことねーよっ』を繰り返してた。

家族を安心させられたのなら、これでよかったのかな。・・・そう思うことにした。

12月24日。クリスマスイブ。ブライダルホールで立食パーティ形式の披露宴。お腹に赤ちゃんがいるのを理由に、式もお色直しも、あれやこれやも省略した。

手配はすべて津田さんがしてくれたからよく分からないけど。たしか、『結婚しろ』って言われたのが12月の頭くらい。披露宴って、忘年会みたいにそんな簡単にできちゃうもの???

合わせて60人ほどの招待客の内訳は半分くらいが、新郎新婦の勤務先でもある、ビルメンテナンス管理やセキュリティ、不動産事業を手がけるグランド・グローバル株式会社関連の人達。

わたしの所属する不動産事業部マネージメント課と、津田さんの所属するマーケティング課はほぼ全員参加。津田さんは会社の創立メンバーのひとりで、真下社長や他の創立メンバーも招待していた。

社長室、室長の日下(くさか)(りょう)こと、わたしの幼馴染みで初恋相手だった亮ちゃんを除いて。
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