マスカレードknight ~サンタ マリア~
それから、露天の気分も味わえた部屋のお風呂で体を温め。亮ちゃんに髪を乾かしてもらって、下着から何まで用意された服にお色直しした。

スタイリストさんに施されたお化粧もセットした髪も、崩すのがもったいない出来映えだったけど、やっぱり普段どおりのわたしが一番落ち着く。

ボトルネックのニットワンピースは締めつけ感がなく肌触りも柔らか、裏ボアのもこもこブーツも足に馴染む履き心地。てっきりこれも亮ちゃんのセレクトかと思ったら、視線が逸らされる。

「礼は真下さんにな」

・・・・・・どうりで仕立てが丁寧だし、ハイブランドぽいなぁって。

「後ろを向いてみろ」

言われるまま。すると回された手でネックレスがかけられ、目を落とせば大きさの違う一対の指輪が胸元で静かに煌めく。

シンプルなプラチナリング。片方にだけ結晶みたいなダイヤモンドが埋め込んであって。

「これ・・・?」

「・・・明里が持っていてくれ」

向き直って亮ちゃんを見上げた。

「俺の代わりだと思えばいい」
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