マスカレードknight ~サンタ マリア~
内側には“R to A”の刻字。たった5文字。でもわたしには永遠を誓う約束にさえ映る。

「いつもお前の傍にいる。その証だ」

どこにいても。
離れてても。
たとえ傍らで死ねなくても。

「わたしも・・・っ」

声が詰まって熱いものが込み上げた。亮ちゃんの胸にすがりつく。

「この子も、心は一緒だからっ」

「ああ。・・・付き合ってくれ、地獄(さいご)まで」

汚れた手でわたしを連れて行けないと、一度は離れていった亮ちゃん。その言葉が聞けたから、もうあと思い残すのはね。

神様、お母さん。せめてこの子がわたし達の顔を憶えられるまで、優しい記憶が残せるまで、生きててあげられますように。

亮ちゃんとわたしが先に逝くことになっても。どうかこの子が独りぼっちになりませんように。

どうか。この子が未来で出逢えますように。たくさんじゃなくていいから、ひとりでいいから、生きてく理由になる・・・そんな誰かと。

星になっても、空気になっても愛してる、忘れないで。

涙があふれた。ただ愛しくて愛しくて愛しくて。

生まれ変わってもアナタのお父さんとお母さんでいさせてね。

次は、孫の顔を見るまでちゃあんと長生きするね。

憶えててね。この二つの指輪で繋がってるから。

どこまでも、ずうっと。
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