マスカレードknight ~サンタ マリア~
可愛らしい絵柄の包み紙は、きっとどれもベビー用品。強面のひとりひとりが浮かんで思わず破顔。ベッドは社長かなぁ。

本当ならわたしは亮ちゃんのそばにいるのを赦されなかった。真下社長は、グランド・グローバルは、国内で二大勢力って言われる反社会組織、櫻秀(おうしゅう)会と裏で深く繋がってて。その秘密を漏らさないよう、わたしは津田さんの監視下におかれてる。

もし裏切ったら亮ちゃんが命で償う。一蓮托生。ふたりの生殺与奪を握るのは、真下征一郎という名前の獣の王様。見え隠れする牙と爪に体が竦むときもあるけど、身内の情には厚いひと。残酷だけど優しさをはき違えないひと。

だから亮ちゃんも津田さんも承知でついていくんだと思う。これからも、どこまでも。

「・・・お返し、どうしたらいいかな」

驚いたのと嬉しいのとで、また涙腺が緩んだわたしに亮ちゃんがクスリとする。自然に。感情を殺すいつもの仮面を外して。

「明里が元気で無事に産んでくれればいい。真下さんのことだ、生まれたら生まれたで祝いたがるだろうしな」

「なんか“お父さん”がいっぱい?」

「・・・・・・言うなよ」

素の溜息に、話し方も砕けた気がする。まとう空気が柔らかくて、昔の亮ちゃんにほんの少し戻った気がした。
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