マスカレードknight ~サンタ マリア~
同居する前からお世話されてるのは確かかなぁと思う。津田さんの言い方を借りれば、わたしの飼い主が亮ちゃん、世話を頼まれてる彼は飼育係。

家事も手際いいし料理男子だし。会社に持ってくお弁当も実は津田さんの手製なのは、初野さんにもナオにも言えない・・・。

上品そうなご両親と、愛想よく口数の少ない弟さんと妹さんは、新幹線の時間があるとかで丁寧に頭を下げつつ、タクシーに乗り込んで早々に引き上げていった。

ちなみに。津田さん側の家族や友人は全員、フリをしてくれたニセモノさんだそうです。次はどうするんだろうって目を丸くしたら、家族は海外に移住したことにするとかなんとか。

『似たのを探せばどうにでもなる』

始まる前、平然としてた津田さんにもだんだん驚かない。けっこう慣れっこになってきたのかなぁ・・・?

お父さん達がエントランスの自動ドアの向こうに小さくなるのを見届けると、津田さんがドレスの上からモフモフな毛皮のロングコートを羽織らせてくれた。フェイクじゃない本物の手触りに感動して思わずうっとり。

「これ、あったかいです~~」

「・・・早くしろ小動物」

久しぶりにその呼び方をした新郎に手を引かれ、表に待っていた黒のミニバンの後部シートに乗り込む。
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