ゾンビゲーム 〜生死をかけて脱出せよ!〜
「奥へ行くんだ!」




文秋に言われて梨乃は中腰のままで通路を進んだ。

後ろから文秋と春美がやってきて、すぐに冷蔵庫の戸は締められた。

部屋から冷蔵庫のドアをガンガンと叩く音が聞こえてくる。

ゾンビが追いかけてきているのだと思うと、全身に寒気が走った。

だけど大丈夫。
ゾンビはこのドアを開けることができないみたいだ。


「春美、大丈夫?」




狭い空間で春美の様子を確認すると、青ざめて目には涙を浮かべている。




「噛みつかれた」




か細い声で言い、傷口を確認する。

足口には肉を千切られた痕が生々しく残っていて、梨乃は口に手をあてて息を飲んだ。

見ているだけで、こちらも痛みを感じてくる。


「止血しないと」

スカートのポケットからハンカチを取り出して春美の足首に巻きつける。

白いハンカチはみるみる赤く染まっていく。
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