ゾンビゲーム 〜生死をかけて脱出せよ!〜
「どうしたの?」



「ドアが、開かない! 鍵がかかってる!」



「嘘でしょ?」




驚いた梨乃が文秋に変わってドアを押す。

けれどびくともしなかった。




「戻れないってこと?」




春美が青ざめた顔で聞く。

梨乃も文秋も返事ができなかった。




「私は大丈夫。怪我も、きっと大したことないから」




進むしかないからだろう、春美は2人に心配かけまいとそう言った。




「動ける?」




梨乃の言葉に春美は頷く。

しっかりしなければいけないと思ったのだろう。

もう涙は浮かんでいなかった。
「じゃあ、とにかく前へ進もう。次の部屋に出ればきっと、大元さんと会話ができるはずだ」


文秋は祈るような気持ちでそうつぶやいたのだった。
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