ゾンビゲーム 〜生死をかけて脱出せよ!〜
今にもソンビに後ろから襲われるんじゃないかと妄想したとき、ようやく机のドアを締めた。

カチッと小さな音がして、そのドアも自動で鍵がかけられたことがわかった。




「文秋!」




梨乃の声がして下を向くと、梯子の下で待っているのが見えた。

3メートルほど下からは横へ移動する通路に切り替わっているみたいだ。

文秋はまだ動機がする心臓を収めるように深呼吸をして下っていく。




「顔色が悪いよ、大丈夫?」



「あぁ……」




梨乃に心配されてもうまく返事ができない。

ゾンビを殴ったときの感触がしっかりと両手に残っていて、手が震えていた。

両手をギュッと握りしめてみるけれど、震えが止まる気配はない。
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