ゾンビゲーム 〜生死をかけて脱出せよ!〜
梨乃の言葉に春美が微かに笑みを浮かべて、左右に首を振る。

誰も助けが来てくれないことは、すでにわかっているはずだ。




「ここにいても餓死するだけだと思う」




文秋が自分の体のあちこちをさすりながら言う。

そうしていないと、落ち着かないんだろう。

3人の間に重たい沈黙がのしかかってくる。

それは何時間もあったようにも思うし、ほんの数分だったような気もする。

沈黙を破ったのは水音だった。

それは梨乃たちが降りてきた梯子の方向から聞こえてきて、視線を向けると、少量ずつ水が通路へ流れ落ちてきているのが見えたのだ。




「前の部屋の水が落ちてきてるんだ!」




梨乃がサッと青ざめて叫ぶ。

このまま通路にいたら餓死する前に溺死してしまう!

3人は同時に出口へ向けて進み始めたのだった。
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