あなたには言えない

5.嫌いじゃなかったんだ

「ただいま。」
陸玖のお母さんが玄関まで来てくれた。

「美月ちゃん大丈夫?ごめんね、迎えに行けなくて。」
陸玖のお母さんが謝った。
「いえいえ、こちらこそご心配おかけしました。」
私も謝った。
迷惑をかけたくないのにかけてしまった。

「良かったわ。
でも、今日は何もしなくていいからゆっくり休んで。
手伝えることがあったら言ってね。」
陸玖のお母さんはいつも優しい。
「ありがとうございます。」
私はそう言って、部屋に入った。

『陸玖にお礼を言わなきゃ。』
私は急いで着替えて、陸玖の部屋の戸をノックした。

すぐに陸玖は出て来た。
「陸玖、今日はありがとう。」
私はお礼の言葉を言った。
「別に、俺は何も」
照れくさそうな顔をした。

「全部、美優に聞いた。
駆けつけてくれたことや保健室まで連れて行ってくれたこと。
付き添っててくれたこと。
迷惑かけてごめんね。
学校ではなるべく迷惑にならないように過ごしてるつもりなんだたんだけど。
失敗しちゃった。ごめんなさい。」
私は本心を伝えた。
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