あなたには言えない

いろいろ見て回り、私もついつい雑貨に入って行った。
可愛いバレッタを見つけた。
『これキレイでかわいい。』
それ以外にもアクセサリーを見たけど、何も買わなかった。

「ねえ、なんか食べて行こうよ。」
陸玖がそう言った。
確かに12時を過ぎ来ていて、お腹が空いていた。

「時間も時間だし、食べて行こうか」
そう言って、フードコートに行くことにした。

フードコートで昼ご飯を食べていると、
同じくらいの女の子たちが陸玖を見て
「ねえ、あの人かっこよくない？」
「イケメン」などと言っているのが耳に入ってきた。

『陸玖のことみんな見てる。そうだよね。私なんか不釣り合いだわ。』
そう思った途端、落ち込んだ。

すると
「どうした？お腹でも痛い？」
と言われた。

「ああ、ううん。大丈夫だよ。じゃあ行こうか」
私たちは食べ終わり、買い物をしてショッピングモールを出た。

帰り道、陸玖が荷物を持ってくれていた。
「いつもこんな重い物持って帰ってるの？」
と言われたから、
「日によるけど、そうだね。」
と私は何も考えず答えた。

すると
「この度から買い物行くときはついて行くよ。」
と言われて、驚いた。

「え？」
私の表情を見て、陸玖は自慢げに
「荷物運びぐらいはできるからさ。」
と軽く買い物袋を持ち上げて見せてくれた。

戸惑いと嬉しさが込み上げ、鼓動が高鳴った。
「うれしい。じゃあ、よろしくお願いします。」
私は正気な振りをしながら言った。
「おお、任せて。」
陸玖は笑顔で私を見ていった。