あなたには言えない
私は、夕食の準備をし始めた。
と言っても、作る予定じゃなかったから家にあるもので作ることにした。

陸玖がリビングに入ってきた。
「俺も手伝うよ。」
陸玖はキッチンに来て、袖をまくった。

「あ、ありがとう。じゃあ、野菜を切ってくれる?」
2人でキッチンに並ぶのは初めてだった。
「OK」
『陸玖が隣にいて、料理してる。』
私は心臓がバクバクしてるのを必死に抑え、料理を続けた。

「こうやって一緒に作るの初めてだな。」
陸玖は私を見て言った。
「そうだね。一緒にキッチンに立つことなんてないよね。」
私は必死で答えた。

「あはは、なんか楽しいな。
これから手伝うようにするよ。」
陸玖は笑って作業を続けていた。
「ありがとう。」
私は平然を装うのに必死だった。

料理は出来上がり、ダイニングテーブルに並べた。
陸玖の買ってきてくれたチキンも一緒に並べた。

「いただきます。」
「いただきます。」
2人で食事をすることは珍しいことでもなんでもないのに、私は緊張をしていた。

「うん、上手い。」
陸玖は笑顔で私を見て言った。
私の心臓が飛び出すかと思うぐらいにドキッとした。
「あ、ありがとう。」
私はなんとか誤魔化しながら食べた。
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