あなたには言えない

2.出会い

彼の名前は盛岡陸玖（もりおかりく）15歳。
陸玖と私は同居している。
と言っても事情があって陸玖の家に私が居候しているのだ。

私がまだ5歳の頃に、父は事故で他界した。
母は看護師をしていて、女手一つで私を育ててきれていた。
私の母と陸玖のお母さんは看護学校時代からの友達らしく、
よく陸玖の家に遊びに行ったり、どうしても母が忙しいときは、
陸玖の家に泊らせてもらったりしていた。

しかし、私が10歳のとき、母はがんを患った。
母のがんの治療が始まったときから、私は陸玖の家で暮らすようになった。

私は時々寂しさを感じたり、母が心配で近くの公園の人気のない場所で泣いていた。

その度に、陸玖は私を見つけ、私の隣に座り、
何を話すでもなく落ち着くまで一緒にいてくれた。
そして「帰ろう！」と一緒に帰ってくれていたのだ。

私はその度に心が癒されていた。
陸玖に対して特別な感情を持ち始めたのはこの時からだったんだろう。
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