あなたには言えない
冬休みが明け、学校が始まった。
そして、今日からバイトをする。

学校が終わり、一旦家に帰り、バイトの準備をして家を出た。
駅まで10分程歩き、最寄りのA駅から10分でF駅に着く。

「今日からアルバイトさせていただきます崎本美月です。
よろしくお願いいたします。」
私は緊張しながら挨拶をした。

「よろしくね。私は浅井優香(あさいゆうか)。
ゆうかって呼んでね。焦らなくていいから、ゆっくり覚えて行ってね。」
とても優しいお姉さんという感じでホッとした。
「よろしくお願いいたします。」

いろんなことが初めてで、戸惑いばかりであっという間に閉店の時間になった。
「もう、閉店時間なんですね。」
こんなに時間が経つのが早く感じたのは初めてだった。
ゆうかさんは笑った。
「はじめはそうよね。わかるわぁ。
でもそのうち楽しくなってくれるといいなぁ。」
「はい。」
そんな話をしながら片付けが終了し店を出た。

ゆうかさんは自転車だったけど、駅まで一緒に歩いてくれた。
「ありがとうございました。」
私はゆうかさんにお礼を言うと
「じゃあ、またね。バイバイ」
そう言って、自転車に乗って去って行った。

『ゆうかさんは優しいし頼りになるし、明るくてかっこいい。』
すごく素敵な女性だと感じた。

私は平日の学校終わりに2回と週末のどちらかに入るようにシフトを組んでもらっていた。

しかしそれから1カ月後、事件が起きた。
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