あなたには言えない
秋になり涼しくなり始めた頃。

たまたま陸玖が1つ上の先輩に告られているのを見た。

陸玖が告られるのは今に始まったことではない。
何度目撃し、何度断ってるのを見たことか・・・。
それでも信じていたため、何も不安はなかった。

しかし、その先輩だけは少し違っていた。

「陸玖くん、私と付き合って欲しい。」
先輩はそう陸玖に言っていた。
「ごめんなさい。俺、先輩とは付き合えません。」
そう断っていた。

「何で付き合えないの?お試しでもいいから。
付き合ってみないとわからないじゃない。」
先輩はなかなか引かない。

「俺、付き合っている人いるんで。
 そいつのことしか考えられない。
 だからごめんなさい。」
そう言って、陸玖は去っていった。

『私のことかな・・・。自惚れかもしれないけど、
私も陸玖のことしか考えられない。
同じ思いだといいな』
なんてことをニヤニヤしながら思っていた。
< 45 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop