あなたには言えない

3.迷惑にならないように

陸玖が教室に入ると、女子たちが「イケメンじゃない?」「頑張って近づこうよ!」などとヒソヒソ話していた。

陸玖は小学生の時から女子にモテていた。中学生のときは何人に告られていたんだろう?彼女がいるという噂も聞いたことがある。

教室にいる限り、顔を合わせないわけにはいかないけど、私の存在が陸玖の生活の邪魔にならないようにしようと決めた。

そんなことを思っていると、前の席の女の子が話しかけてくれた。

「おはよう。はじめまして。私は斉藤心(さいとうのぞみ)。よろしくね。」私はすごく嬉しかった。

「はじめまして。私は崎本美月。こちらこそよろしくね。」笑顔で言うと、「じゃあ、美月って呼んでもいい?」「うんうん、じゃあ、私も心って呼ぶね」2人で笑顔になった。友達がクラスにいない者同士だったから仲良くなった。

入学式や始業式が終わり、その日は午前中で学校は終わった。
「じゃあ、また明日。バイバイ」
「うん、また明日。バイバイ」
心とは教室で別れた。

ちょうど下駄箱についた時、美優が走ってやってきた。
「ごめ~ん、待たせた?」
「ううん、ちょうど今来たところ。」
美優はホッとしたような表情になった。

「美月、ファスト寄って行かない?」
「うん、行く!」
美優と2人でファストフードに行くことになった。
中学生の頃は寄り道なんてしないし、
お金も持ち歩かない。
だから、高校生になって初めての寄り道。ワクワクした。
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