いちばん、欲しいもの
私を上から見下ろしている角度のまま。
そっと...........................
──────私のくちびるに指を乗せた。
その瞬間、ドクンと心臓が跳ねて。
聖夜と見つめあったまま。
「お前にしか、頼めないこと言っていい?」
そう、甘さを含んだような、
艶やかなその声で言った聖夜。
「............っ、せ、聖夜、」
ドキドキしたまま、名前を呼ぶと。
「..................、ごめん。驚かせて。やっぱ、
いくらお前でも、1番欲しいものは、貰えない」
そっと、くちびるから指を離して、
私の頭を、ポンッと撫でてそう呟く聖夜。
「...............っ、せ、いや、」
名前を呟いても時すでに遅しで。
私は、またまた、
聖夜の部屋に、1人ポツンと残された。