いちばん、欲しいもの
「星奈!」
私の名前を呼ぶ声がどこかから聞こえて。
キョロキョロしてる間に.....................
──────ギュッと。
後ろから、暖かな温もりに包まれた。
その正体は、確認しなくても分かる。
「..................、せ、いや、」
子供の頃から身近にある匂い。
落ち着く匂いに、心が暖かくなって。
気づけば、私は、
聖夜の方を向いて、腕の中で泣いてしまった。
ここが街中とかそんなの気にする暇もなくて。
子供みたいに、
わんわんと泣いてしまったのに。
そんな私の耳元で。
聖夜は、囁くように..................
「イルミネーションは2人で、って約束だろ」
怒らずにそう告げてくれたから、
余計に涙が涙が止まらなくなった..................