最後の日〜ありがとう、マーチ〜
七時半、いつものように目覚まし時計が鳴る。目覚まし時計が置かれている枕元に手を伸ばし、私、岡本朱莉(おかもとあかり)は鳴り響く音を止めた。
窓の外からは雀の可愛らしい鳴き声が聞こえてくる。子どもたちが登校する賑やかな声も聞こえてくる。
きっと空は雲一つない晴天で、いいお出かけ日和なんだろう。でも、私は「今日」が来てほしくなかった。ずっと夜が続いてほしかった。
私の手に冷たく湿った何かが当たる。これが何かすぐにわかる。犬のマーチの鼻だ。犬の鼻は湿っていて冷たいと、十年前に初めて知った。
「マーチ、おはよう」
私の目の前は真っ暗だ。でも、マーチが尻尾をブンブン振っていることはわかる。ずっと前からわかっていた今日の予定のことを考えると、嫌で嫌でたまらなくなる。でも、これは決められていた運命だから……。
「ご飯、食べよっか」
私はベッドから降り、壁伝いに歩きながら家の中を進んでいく。マーチは私の隣にぴったりと並んで歩いている。見えなくても、温もりでちゃんとわかる。
窓の外からは雀の可愛らしい鳴き声が聞こえてくる。子どもたちが登校する賑やかな声も聞こえてくる。
きっと空は雲一つない晴天で、いいお出かけ日和なんだろう。でも、私は「今日」が来てほしくなかった。ずっと夜が続いてほしかった。
私の手に冷たく湿った何かが当たる。これが何かすぐにわかる。犬のマーチの鼻だ。犬の鼻は湿っていて冷たいと、十年前に初めて知った。
「マーチ、おはよう」
私の目の前は真っ暗だ。でも、マーチが尻尾をブンブン振っていることはわかる。ずっと前からわかっていた今日の予定のことを考えると、嫌で嫌でたまらなくなる。でも、これは決められていた運命だから……。
「ご飯、食べよっか」
私はベッドから降り、壁伝いに歩きながら家の中を進んでいく。マーチは私の隣にぴったりと並んで歩いている。見えなくても、温もりでちゃんとわかる。
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