厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
秘密のレッスン(5)
*
フランの居所が城の上階に移されたことは、瞬く間に城中に知れ渡ることになった。
部屋から出ずにおとなしくしていても、長らく空室だった皇妃の部屋の扉が開いたことは大事であり、使用人の出入りもあることから隠し通すことは不可能だ。
「フラン様が離宮から姿を消して、ご令嬢様方はあろうことか夜逃げしたと思っていらっしゃったらしいんですよ。それがまさか、皇帝陛下がお持ち帰りされていたとわかって、卒倒する女性が続出だったらしいです」
サリーが同僚を通して得た情報を喜々として流してくれたが、フランにしてみれば気が気ではない。カーネリアたちと顔を合わせようものなら、視線と口撃でめった刺しにされるだろう。朝礼と夕礼に出なくてもいいことが、なによりの救いだった。
しかしそう安堵していると、皇太后からお茶会への招待が届いた。事実上の呼び出しである。
(なにを言われるのかしら……)
不安な気持ちを抱えながらも、フランは指定の場所へと急いだ。
フランの居所が城の上階に移されたことは、瞬く間に城中に知れ渡ることになった。
部屋から出ずにおとなしくしていても、長らく空室だった皇妃の部屋の扉が開いたことは大事であり、使用人の出入りもあることから隠し通すことは不可能だ。
「フラン様が離宮から姿を消して、ご令嬢様方はあろうことか夜逃げしたと思っていらっしゃったらしいんですよ。それがまさか、皇帝陛下がお持ち帰りされていたとわかって、卒倒する女性が続出だったらしいです」
サリーが同僚を通して得た情報を喜々として流してくれたが、フランにしてみれば気が気ではない。カーネリアたちと顔を合わせようものなら、視線と口撃でめった刺しにされるだろう。朝礼と夕礼に出なくてもいいことが、なによりの救いだった。
しかしそう安堵していると、皇太后からお茶会への招待が届いた。事実上の呼び出しである。
(なにを言われるのかしら……)
不安な気持ちを抱えながらも、フランは指定の場所へと急いだ。