厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
(ええっ? もう手がかりを突き止めたの!?)

 それはすごいと驚いていると――カーネリア公爵と目が合った。

「杯に混ぜたと思われる液体の入った小瓶が、皇妃の部屋で発見されました。寝台の枕の下に隠してあったようだが、これはいったいどういうことかな? フラン王女よ」
「皇妃の部屋に……? そ、そんなことは……」

 自分が疑われているのだと察し、フランは目を見開いた。
 シーツや枕はサリーが毎日取り換えてくれているし、そのようなものを枕の下に入れた覚えはない。なにかの間違いだと否定したが、攻撃は止まらなかった。

「おまえは属国から貢ぎ物として送られてきた王女だというではないか。そのことを恨みに思い、陛下に牙を剥いたのではないか?」
「ち、違います。たしかに私の国は帝国の支配下に置かれましたが、温情をかけてくださった陛下を、恨んでなんていませんし……」

 そのとき、「フッ」とライズが声を漏らしたので、全員がそちらに注目した。
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