厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
ライズは満足そうに笑いながら、毅然とした口調で側近に命じた。
「クリムト。皇妃の部屋に出入りできる上級侍女を全員取り調べろ。手引きした者がいるはずだ。それから、侍女と公爵たちとの繋がりもな」
「かしこまりました」
公爵は、しばらくぽかんと立ち尽くしたあと、血相を変えて叫んだ。
「へ、陛下! 我々をお疑いとは……長年仕えた我々よりも、そのどこの馬とも知れぬ小娘を信用されるのですか!?」
「当たり前だろう。おまえたちのことは、誰よりもよく知っている。おおかた娘の令嬢たちに頼まれて、フランを排除しようとしたのだろう?」
「んなっ!?」
「それにな。私は昨夜も皇妃の部屋に行き、朝までフランと一緒に過ごしたが、枕の下にそんなものはなかったと断言できる。日中においても同様、ひとときも離さず側に置いていたゆえ、毒物を仕込むような暇はなかった。わざわざ寝室に戻り薬瓶を隠すこともありえないし、意味もない」
本当は互いに式典の準備で忙しく、別々の行動をとった時間もあるのだが、誇張して庇ってくれているようだ。皇帝が証人とあっては、これ以上どんな追及をできようか。
「クリムト。皇妃の部屋に出入りできる上級侍女を全員取り調べろ。手引きした者がいるはずだ。それから、侍女と公爵たちとの繋がりもな」
「かしこまりました」
公爵は、しばらくぽかんと立ち尽くしたあと、血相を変えて叫んだ。
「へ、陛下! 我々をお疑いとは……長年仕えた我々よりも、そのどこの馬とも知れぬ小娘を信用されるのですか!?」
「当たり前だろう。おまえたちのことは、誰よりもよく知っている。おおかた娘の令嬢たちに頼まれて、フランを排除しようとしたのだろう?」
「んなっ!?」
「それにな。私は昨夜も皇妃の部屋に行き、朝までフランと一緒に過ごしたが、枕の下にそんなものはなかったと断言できる。日中においても同様、ひとときも離さず側に置いていたゆえ、毒物を仕込むような暇はなかった。わざわざ寝室に戻り薬瓶を隠すこともありえないし、意味もない」
本当は互いに式典の準備で忙しく、別々の行動をとった時間もあるのだが、誇張して庇ってくれているようだ。皇帝が証人とあっては、これ以上どんな追及をできようか。