厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
「大丈夫か? 気分は悪くないか」
「いえ、とっても美味しかったです~……」
なんだか返事がふわふわしている。気分はよさそうに見えるが、瞳が潤んで、舌っ足らずのほろ酔い状態だ。
すぐに馬車にたどり着いたので、座席の背もたれにフランを寄りかからせ、支えるために隣に乗り込んだ。
フランがこてんと首を傾け、こちらの肩にもたれて言う。
「ライズ様……。今日は……私が生きてきた中で……一番、楽しかったです……。本当にありがとう……ございまし……」
ふにゃりと笑ってそう告げたあと、かくんと力を抜き眠り込んでしまった。
揺れで転ばないようしっかりと抱き寄せて、出発した馬車の揺れに身を任せる。
「……」
すやすやと規則正しい寝息。表情は穏やかで、小ぶりな唇は微笑んでいるように見える。
ふと、クリムトから報告を受けていた、フランの生い立ちについての情報が唐突に思い出された。
不吉な先祖返りとして厄介者扱いされており、妹王女と差別され、王女とは名ばかりの粗末な扱いをされていたのだと。
だが異能の存在とはいえ、血を分けた娘にそんな接し方をするだろうか。
「いえ、とっても美味しかったです~……」
なんだか返事がふわふわしている。気分はよさそうに見えるが、瞳が潤んで、舌っ足らずのほろ酔い状態だ。
すぐに馬車にたどり着いたので、座席の背もたれにフランを寄りかからせ、支えるために隣に乗り込んだ。
フランがこてんと首を傾け、こちらの肩にもたれて言う。
「ライズ様……。今日は……私が生きてきた中で……一番、楽しかったです……。本当にありがとう……ございまし……」
ふにゃりと笑ってそう告げたあと、かくんと力を抜き眠り込んでしまった。
揺れで転ばないようしっかりと抱き寄せて、出発した馬車の揺れに身を任せる。
「……」
すやすやと規則正しい寝息。表情は穏やかで、小ぶりな唇は微笑んでいるように見える。
ふと、クリムトから報告を受けていた、フランの生い立ちについての情報が唐突に思い出された。
不吉な先祖返りとして厄介者扱いされており、妹王女と差別され、王女とは名ばかりの粗末な扱いをされていたのだと。
だが異能の存在とはいえ、血を分けた娘にそんな接し方をするだろうか。