厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
「我が城の名称、フランベルジュと響きが重なるわね。なにかのご縁かしら」

 と、皇太后が相槌を打った。そうして品定めをするように、じっくりとフランの立ち姿を眺めてくる。
 だが皇太后は形のよい眉をわずかにひそめて、残念そうな表情を浮かべた。

「なんだか貧……いえ、つつましいタイプの王女ね……。珍しい髪色をしているし、素材はまぁまぁかしら……」

 すると皇帝は、そんなことは関係がないという風で、皇太后を横目に睨んで言った。

「母上……降伏勧告の書面に、勝手に条件をつけ加えましたね。いったい何人、穀潰しの姫たちを抱え込めば気が済むのですか」
「ライズ。あなたがいつまでも皇妃を選ばないから、選択肢を増やしてあげているのでしょう。わたくしは早く孫を抱いて安心したいのよ」

 それを聞いた皇帝ライズは、あからさまに苛立ちをあらわにし、周囲の臣下たちの表情を凍らせる。

 求められたのでないなら、自分はなぜここにいるんだろう……。
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