厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
*
(はぁ……これからどうしようかしら……)
サリーが昼食の世話を終えて下がっていったあと、フランはひとりの時間を持て余していた。
気力が湧かず、なにをする気にもなれない。ぼんやりしていると思い浮かんでくるのは、結局ライズのことばかりだ。
今ごろどうしているだろう。行程は順調だろうか。ライズとシルビア姫は、馬車の中で楽しい時間を過ごしているのだろうか――。
そんなことを考えて自分を追い詰めていたら、いつしか体が縮まって、ピンク色の柔毛に包まれた獣の姿になっていた。
心が弱って変身してしまうのは久しぶりだ。なんだか意表を突かれた心地である。
軽く伸びをし、ぷるっと身震いをして、四つ足の感覚を取り戻した。
能力のコントロールを覚えた今なら、すぐに人間の姿に戻ることもできる。けれど、あえてこのまま自然に任せることにした。きっと体の防衛本能みたいなもので、楽な姿勢で回復に努めよという合図なのだと思う。
それにしても小さな動物の体では、部屋でできる行動は限られる。丸くなって眠ることくらいしか思いつかないが、もしなにかの用事で侍女が戻ってきてベッドに獣がいるのを見たら驚かせてしまうだろう。
(はぁ……これからどうしようかしら……)
サリーが昼食の世話を終えて下がっていったあと、フランはひとりの時間を持て余していた。
気力が湧かず、なにをする気にもなれない。ぼんやりしていると思い浮かんでくるのは、結局ライズのことばかりだ。
今ごろどうしているだろう。行程は順調だろうか。ライズとシルビア姫は、馬車の中で楽しい時間を過ごしているのだろうか――。
そんなことを考えて自分を追い詰めていたら、いつしか体が縮まって、ピンク色の柔毛に包まれた獣の姿になっていた。
心が弱って変身してしまうのは久しぶりだ。なんだか意表を突かれた心地である。
軽く伸びをし、ぷるっと身震いをして、四つ足の感覚を取り戻した。
能力のコントロールを覚えた今なら、すぐに人間の姿に戻ることもできる。けれど、あえてこのまま自然に任せることにした。きっと体の防衛本能みたいなもので、楽な姿勢で回復に努めよという合図なのだと思う。
それにしても小さな動物の体では、部屋でできる行動は限られる。丸くなって眠ることくらいしか思いつかないが、もしなにかの用事で侍女が戻ってきてベッドに獣がいるのを見たら驚かせてしまうだろう。