厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
唖然としながらも、うっすらと状況を整理する。
フランがここに呼ばれたのは、どうやら皇帝の意志ではなく、皇太后の一存。
息子である皇帝が結婚適齢期になっても妃を決めないので、気を揉んだ皇太后が花嫁候補を集めてきて、よりどりみどりにしていると。
だが、皇帝自身は、それをよしとしてはいないらしい――。
「――おい、おまえ」
「は、はい……」
低い声が降ってきて、フランは飛び上がった。
「少しでも目障りな行動をすれば、斬り捨てる。肝に銘じておけ」
剣鞘を手に立ち上がり、高みから見下ろしてくる視線は、まさに冷徹、絶対零度。全身が凍りついたように動けなくなってしまう。
気難しい皇帝はこちらの返事を待つことなく、鋭い靴音を響かせて去っていった。
続いて皇太后が、呆れたような溜め息をついて席を立つ。臣下らを引き連れて退席していき、フランはその場にぽつんと残された。
案内役の侍女に声をかけられるまで、フランは呆然と立ち尽くすしかなかった。
フランがここに呼ばれたのは、どうやら皇帝の意志ではなく、皇太后の一存。
息子である皇帝が結婚適齢期になっても妃を決めないので、気を揉んだ皇太后が花嫁候補を集めてきて、よりどりみどりにしていると。
だが、皇帝自身は、それをよしとしてはいないらしい――。
「――おい、おまえ」
「は、はい……」
低い声が降ってきて、フランは飛び上がった。
「少しでも目障りな行動をすれば、斬り捨てる。肝に銘じておけ」
剣鞘を手に立ち上がり、高みから見下ろしてくる視線は、まさに冷徹、絶対零度。全身が凍りついたように動けなくなってしまう。
気難しい皇帝はこちらの返事を待つことなく、鋭い靴音を響かせて去っていった。
続いて皇太后が、呆れたような溜め息をついて席を立つ。臣下らを引き連れて退席していき、フランはその場にぽつんと残された。
案内役の侍女に声をかけられるまで、フランは呆然と立ち尽くすしかなかった。