厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています

はかなき皇弟ルーク(3)

 ライズと似たパーツを持ってはいても、印象のだいぶ異なる謎の青年は、フランを自分のいるベッドの上へと招いた。
 肩まで伸びた白に近い金髪。薄紫色の瞳は優しい色合いで、病魔に侵され痩せてはいたが、その顔立ちは美しい。
 動けないわけではないが起き上がるのも一苦労なのだという彼は、緩慢な動作で上半身を起こすと、そんな自分が恥ずかしいとばかりに自嘲を浮かべた。

 しばらく距離をとって様子を見ながら過ごしたところ、悪い人ではないと思えたので、警戒を解いて自己紹介を交わすことにする。
 先に披露された彼の名は、ルーク・ジ・ヴォルカノ。
 ライズより五つ年下の実の弟、いわゆる皇弟殿下と呼ばれる存在だった。
 通った鼻筋や顎のライン、微笑んだときの目元が、見れば見るほど兄弟で似通っている。男性にしては女性的な顔立ちは、皇太后の面影にも重なった。

「私はフラン・ミア・シャムールと申します。皇弟殿下」
「皇弟殿下はやめてくれるかな。ルークでいい。それから私は見てのとおり軟弱な身体だけれど、移る病気などではないから、安心してほしい」
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