厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
冒険家として海を渡り歩いていた主人公のデリックは、海賊が遺した財宝や秘境の発掘を進め、将来国を興すための財を蓄えた。その頃、渡り歩いた島々の中で、とある獣人族の娘に出会ったという。
愛らしい獣の姿で人語を話すかと思えば、変身し、精霊のごとき美しい女性の姿にもなれる奇跡の種族、セイントマリア。
木炭の筆記具でデリック本人が描いたと思われる挿画には、大きな三角の耳、つんと立つ小鼻に、ふっさりとした尻尾――フランそっくりの動物の姿が絵描かれていた。
「これって……」
驚きに言葉をなくしていると、
「そう、君に瓜ふたつだろう? すぐにわかったよ。獣人族の中でもセイントマリアは特に希少で、その後、絶滅してしまったと伝えられている。今では伝説として、夢物語みたいに思っていたけれど……まさかこうして本物に会えるなんて」
ヴォルカノ帝国の先祖が、フランの先祖と出会っていた。ルークが言った「運命」という言葉がしっくりくるような、なんとも奇妙な縁だ。
ルークはまだ感慨深そうに浸っていたが、悠長に待ってはいられない。
短い手でページをめくろうとしたが、その続きのページは破れ、失われてしまっていた。
「そんな……」
「私が開いたときには、もうこの状態になっていたんだ」
愛らしい獣の姿で人語を話すかと思えば、変身し、精霊のごとき美しい女性の姿にもなれる奇跡の種族、セイントマリア。
木炭の筆記具でデリック本人が描いたと思われる挿画には、大きな三角の耳、つんと立つ小鼻に、ふっさりとした尻尾――フランそっくりの動物の姿が絵描かれていた。
「これって……」
驚きに言葉をなくしていると、
「そう、君に瓜ふたつだろう? すぐにわかったよ。獣人族の中でもセイントマリアは特に希少で、その後、絶滅してしまったと伝えられている。今では伝説として、夢物語みたいに思っていたけれど……まさかこうして本物に会えるなんて」
ヴォルカノ帝国の先祖が、フランの先祖と出会っていた。ルークが言った「運命」という言葉がしっくりくるような、なんとも奇妙な縁だ。
ルークはまだ感慨深そうに浸っていたが、悠長に待ってはいられない。
短い手でページをめくろうとしたが、その続きのページは破れ、失われてしまっていた。
「そんな……」
「私が開いたときには、もうこの状態になっていたんだ」