厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
「私は、どれくらい眠っていたのでしょうか……」
「二日と半になる。心臓が潰れるかと思ったぞ」

 安堵のため息が聞こえて、ひとまず抱擁が解かれた。
 彼が大きなクッションを引き寄せて、フランの身をそこへもたせかけてくれる。まるで壊れ物を扱うような手つきだ。
 自分の体の状態を確かめると、全身がけだるく、熱を持っていた。体の中のマナが空っぽになっているのを感じる。

「辛いのだろう? 無理をするな」
「ありがとうございます。それより、あの……」

 ルークがどうなったのか確認したかったが、悲しい末路を知るのが怖くて口ごもってしまう。
 するとライズは瞳に真摯な光を浮かべ、深く頷いた。

「ルークは無事だ。……おまえのおかげだ。礼を言う」

 それを聞いたフランは、表情を明るくした。
 聞けば、あれほどルークの体を蝕んでいた毒は消え失せ、心臓の動きも驚くほどよくなっているという。フランの必死の治療が功を奏し、体調が持ち直したのだ。
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