厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
「フラン……好きだ。大好きだ……」
「ライズ様……私も……」

 甘く背徳的な時間。密着し、ひとつに溶け合うような充足感がたまらない。気持ちがよくて幸せで、このままずっと溺れていたいと思ってしまう。
 ちゅっと水音を立てて彼の唇が離れ、今度は瞼、頬、耳へと順にキスを落とされる。そのまま首筋を添うように下がっていき、こちらの肩口に顔を埋めたと思うと、鎖骨のあたりの皮膚を強く吸い上げられた。ちりっとした感覚に驚いて体を震わせると、彼はその痺れた部分にうやうやしく口づけて、おもむろに顔を上げた。
 冴え冴えとした目元を上気させ、いつもより色めいた表情を浮かべて言う。

「すまない、休ませなければならないのはわかっているんだが」

 フランは上擦る呼吸を整えながら、ふるふると首を振った。切なくて相手の唇から目を離せずにいると、そこにドキリとする表情が乗ったのがわかる。
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