厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています

溺れるほどの愛(1)

 フランはライズとの婚礼の準備で、目が回るほど忙しくなった。
 出生の真実を知っても落ち込む隙もないくらいに、たくさんの人が祝いの挨拶に訪れて、さばききれないほどの贈り物を届けていく。
 エステとマッサージが毎日のスケジュールに盛り込まれ、サリーを筆頭とする侍女たちが張り切って腕を振るう。ときにはシルビア姫が顔を出し、ロイヤルな場での作法や立ち回り方をアドバイスしてくれた。

 今は部屋を丸ごとドレスルームにした一室で、三人の侍女に囲まれて衣装合わせをしている最中だ。
 ハンガーに吊された何十着ものドレスの中からウェディングドレスを選んでいるのだが、どれも最高級の出来栄えで目に眩しい。これらのすべてがフランのためだけにしつらえられているなんて、あまりの贅沢ぶりにめまいがしてしまう。
 当日はこの中から選び抜いた数着を使用するらしいが、皇太后がさまざまなパターンを見たいからと、フランに実際に身に着けさせては取り替える、その繰り返しだった。

「ん~、このデザインもまぁまぁだけれど……。フランさんはお肌が白くてきれいだから、もっとデコルテを広く見せたほうが……。次のドレスを持ってきてちょうだい」

(ま、まだ続くの……? さすがに足が……)
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