厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
それから自信満々に自分の見立てだと胸を張る皇太后と、ライズの軽い言い合いが始まる。これはもう見慣れた風景だ。公の場では厳かで、住む世界が違うと思っていた人々は、プライベートとなれば親しみやすく、懐の広い人たちだった。
慈しみ、信頼し、ときにはぶつかり合っても揺るがない。これが家族というものなのだと、フランは知った。そしてもうすぐ自分もその一員として迎えてもらえる。その日が待ち遠しくてたまらなかった。
婚礼の式に呼ぶ予定の貴賓リストの中に、フランの家族の名前はない。そのことは当然のこととして受け止めていた。
建国祭での事件のあと、事実は密やかに父王に伝えられ、お目こぼしにあずかった家族を連れて国に戻っていった。ベラが企んだことについては、悩んだライズが寛大な処置をしてくれたわけであるが、見逃すのは今回一度きりという条件つきだ。
シャムールは王制を廃止し、帝国の指導を受けながら民主制に移行する見込みだという。祖国に新たな風が吹くチャンスをくれた彼には感謝の気持ちしかない。
そして――もうこの先、故郷を振り返ることはないだろう。前だけを見て、歩いていけばいい。
「そろそろ食事にしよう。今日は天気がいいから、外でどうだ」
「はい、ぜひ!」
ライズの提案で庭に設けた席に移動し、美しい自然の中でのランチとしゃれこんだ。
ライズに皇太后、そしてルーク、さらにはシルビア姫も呼ばれて、頬が落ちそうなほど美味しい食事を堪能する。
フランの周りは、温かな愛情と安らぎに満ちていた。
慈しみ、信頼し、ときにはぶつかり合っても揺るがない。これが家族というものなのだと、フランは知った。そしてもうすぐ自分もその一員として迎えてもらえる。その日が待ち遠しくてたまらなかった。
婚礼の式に呼ぶ予定の貴賓リストの中に、フランの家族の名前はない。そのことは当然のこととして受け止めていた。
建国祭での事件のあと、事実は密やかに父王に伝えられ、お目こぼしにあずかった家族を連れて国に戻っていった。ベラが企んだことについては、悩んだライズが寛大な処置をしてくれたわけであるが、見逃すのは今回一度きりという条件つきだ。
シャムールは王制を廃止し、帝国の指導を受けながら民主制に移行する見込みだという。祖国に新たな風が吹くチャンスをくれた彼には感謝の気持ちしかない。
そして――もうこの先、故郷を振り返ることはないだろう。前だけを見て、歩いていけばいい。
「そろそろ食事にしよう。今日は天気がいいから、外でどうだ」
「はい、ぜひ!」
ライズの提案で庭に設けた席に移動し、美しい自然の中でのランチとしゃれこんだ。
ライズに皇太后、そしてルーク、さらにはシルビア姫も呼ばれて、頬が落ちそうなほど美味しい食事を堪能する。
フランの周りは、温かな愛情と安らぎに満ちていた。