厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
「フラン様のお部屋はこちらになります」

 サリーに案内された部屋は、花離宮の中では少し使いにくい場所にある一室らしいが、フランにとっては十分すぎるものだった。

「まぁ……! とってもステキね!」

 白を基調とした壁紙に、統一されたデザインの可愛らしい高級家具。窓には繊細なレースと薄紅色をしたカーテンがかけられて、女性らしい雰囲気が漂っている。

 猫足のソファは使いやすそうで、おしゃれなアクセントだ。天蓋つきのベッドも豪華で、ふわふわの羽根布団は手触りがよいし、マットレスには弾力があり、心地いい。

 シャムールにいたときにも王女としての部屋は与えられていたが、ここまで贅沢ではなかった。風土の違いもあるし、それに妹のマーガレットと比べ、フランはあまり王族として手をかけられていなかったというのもある。
 ここでなら快適な暮らしが送れそうだと、安心感が湧いてきた。

 続きの部屋はドレスルームになっていて、目移りするほどのドレスにアクセサリー、何種類もの香水やお化粧品が収納されている。
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