厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
 日々の支度は、基本的にはサリーがそばについて手伝ってくれるという。

「よかった。国からは、あまり衣装を持ってこられなかったから……こんなにたくさんのドレスを用意してくださったなんて、ありがたいわ」

 手放しで喜んだフランだが、クローゼットの一角で目を丸くすることになった。

 妙に存在感のあるピンク色の一着を手に取ってみると、それは派手なネグリジェだった。
 袖を通して胸元の一か所をリボンで留めるだけのデザイン。ふんだんにレースがあしらわれているが、布地の面積は少なく、おまけに透け透けだ。これでは隠すというより、むしろ逆効果……。

「こっ……これは、なに……?」
「あぁ、そちらは皇帝陛下からお声がかかった際に着用する、夜用の勝負服ですね」
「勝負服……?」
「はい! 閨に呼ばれたとき、雰囲気を盛り立てるようおしゃれをするのです。そうなればお妃様に選ばれる大チャンスです。陛下の寵愛を得られるよう、腕に寄りをかけて準備のお手伝いをさせていただきますので」
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