厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
 彼女たちの邪魔にならないよう、そそくさと端っこの奥まったほうへと移動するも――。

 なにげなくカーネリアの胸元の大きく空いたドレスを見て、仰天してしまった。祖国では見たことがない大胆なデザイン。相当にセクシーだ。
 露出している部分の肌がきらきらと輝いているのは、パウダーを塗っているからなのだろうか。眩しくて目がチカチカするし、心臓もドキドキする。

(す、すごいわ……。同じ女性でも目のやり場が……)

 初めて見る「女の本気」に顔を熱くしていると、本命の到着を知らせる鐘が鳴った。

 空気がピンと張り、沈黙がその場を支配する。
 思わず息をひそめていると――大扉が開き、大勢の臣下を引き連れた皇帝が姿を見せた。

(――っ……)

 呼吸が止まり、心拍数が上がる。
 遠くからでもわかる、煌びやかなブロンドの髪。切れ長のパープルの瞳に引き締まった表情は、何度見ても見惚れてしまう。

「輝かしき帝国の太陽。ライズ・ド・ヴォルカノ皇帝陛下にご挨拶を申し上げます」

 代表したカーネリアのかけ声とともに、令嬢たちが一斉にお辞儀をしたので、フランも慌てて例にならった。
< 33 / 265 >

この作品をシェア

pagetop