厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
給仕係のメイドが、皇帝とフラン、それぞれの前にティーカップと軽食を運んできた。
カップに飴色の液体が注がれ、香り高い湯気が立ち昇ってくる。
ケーキスタンドには焼き色の美しいキッシュやパイ、ゼリーやお菓子などの類が美しく盛りつけられ、目にも鮮やかだ。
だが、平時なら表情を輝かせるような場面でも、この状況では食欲を湧かせるのは難しい。なにか粗相をして不興を買ってしまったらと思うと、恐ろしくて手が出せない。
「悪いが時間はあまり取れない。食事を進めながら話そう」
そういうライズは品のある動きで、カップの飲み物にだけ手をつけている。
(陛下は私に、なにをお尋ねになるつもりなのかしら……)
座席の間隔は離れていたが、凛とした彼の声はよく通って聞こえてくる。けれど、こちらは少し喉に力を入れないと聞き取りづらく思われるかもしれない。
「……どうした? 遠慮せず手をつけてもらって構わないが」
「は、は、はい! いただきます……あっ!」
彼にならい紅茶に手を伸ばしたが、取っ手にかけた指の震えが思いのほか大きく、中身を受け皿に零してしまった。
カップに飴色の液体が注がれ、香り高い湯気が立ち昇ってくる。
ケーキスタンドには焼き色の美しいキッシュやパイ、ゼリーやお菓子などの類が美しく盛りつけられ、目にも鮮やかだ。
だが、平時なら表情を輝かせるような場面でも、この状況では食欲を湧かせるのは難しい。なにか粗相をして不興を買ってしまったらと思うと、恐ろしくて手が出せない。
「悪いが時間はあまり取れない。食事を進めながら話そう」
そういうライズは品のある動きで、カップの飲み物にだけ手をつけている。
(陛下は私に、なにをお尋ねになるつもりなのかしら……)
座席の間隔は離れていたが、凛とした彼の声はよく通って聞こえてくる。けれど、こちらは少し喉に力を入れないと聞き取りづらく思われるかもしれない。
「……どうした? 遠慮せず手をつけてもらって構わないが」
「は、は、はい! いただきます……あっ!」
彼にならい紅茶に手を伸ばしたが、取っ手にかけた指の震えが思いのほか大きく、中身を受け皿に零してしまった。