厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
フランの秘密(1)
来たときと同じく庭の木を伝って窓から入り、花離宮にある自分の部屋へと帰着する。それから間もなく変身が解けて、人間の姿を取り戻した。
ほどよい疲れと、満腹感に包まれて……。
その日の夜は、満ち足りた気持ちで眠りにつくことができた。
あれから数日が経ち――。
劇的な変化はなくとも、どうにか無難に過ごすことができている。今日もまた、代わり映えのしない夕礼に参列して、部屋に戻ってきたところだ。
このあとは、部屋つきの風呂で湯あみをすることくらいしか、やることがない。退屈で、本でも借りられないものかと思ったが、贅沢を言える立場ではなかった。
窓辺の椅子に身を預け、宵闇に沈んだ外の景色を見つめながら、物思いにふける。
ぼんやりしていると、浮かぶのはあの日の出来事。
城の執務室で、皇帝と過ごした時間。あのときに感じたこそばゆい気持ちを、今も忘れられずにいる。
(……現実だったのかしら、あれは……)
ほどよい疲れと、満腹感に包まれて……。
その日の夜は、満ち足りた気持ちで眠りにつくことができた。
あれから数日が経ち――。
劇的な変化はなくとも、どうにか無難に過ごすことができている。今日もまた、代わり映えのしない夕礼に参列して、部屋に戻ってきたところだ。
このあとは、部屋つきの風呂で湯あみをすることくらいしか、やることがない。退屈で、本でも借りられないものかと思ったが、贅沢を言える立場ではなかった。
窓辺の椅子に身を預け、宵闇に沈んだ外の景色を見つめながら、物思いにふける。
ぼんやりしていると、浮かぶのはあの日の出来事。
城の執務室で、皇帝と過ごした時間。あのときに感じたこそばゆい気持ちを、今も忘れられずにいる。
(……現実だったのかしら、あれは……)