厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
正確にいえば猫ではないし、正直に正体を明かしてもよいものだろうか。
視線を揺らして口をもごもごさせていると、注目の的がフランの手元へと移った。
「それは、私が迷子の猫にやったものだ」
知らず握りしめたままになっていたハンカチ。もう言い逃れはできそうにない。
「も、申し訳ありません……! けして陛下を騙そうと思ったわけでは……」
半泣きになって答えると、納得したような呟きが耳に届く。
「驚いたな……。獣人というのは半獣の姿になるだけでなく、完全な獣にもなれるのか」
彼は目の前に立ったまま、動きを止めてなにやら考え込んでいる。
(怒っては、いらっしゃらない……?)
圧が弱まったので、少しだけ肩の力を抜いた。
すると今度は、長い指で顎をすくわれ、上を向かせられる。
至近距離からじっくりと見つめられて、されるがままのこちらは、身も心も透かされている気分だ。
視線を揺らして口をもごもごさせていると、注目の的がフランの手元へと移った。
「それは、私が迷子の猫にやったものだ」
知らず握りしめたままになっていたハンカチ。もう言い逃れはできそうにない。
「も、申し訳ありません……! けして陛下を騙そうと思ったわけでは……」
半泣きになって答えると、納得したような呟きが耳に届く。
「驚いたな……。獣人というのは半獣の姿になるだけでなく、完全な獣にもなれるのか」
彼は目の前に立ったまま、動きを止めてなにやら考え込んでいる。
(怒っては、いらっしゃらない……?)
圧が弱まったので、少しだけ肩の力を抜いた。
すると今度は、長い指で顎をすくわれ、上を向かせられる。
至近距離からじっくりと見つめられて、されるがままのこちらは、身も心も透かされている気分だ。