厄介払いされた聖獣王女ですが、冷徹なはずの皇帝陛下に甘やかされています
 裸を見られただろうか。それよりももっと考えが及ばないような事態になっていたかもしれない。羞恥のあまり、泣きたくなってくる。
 震えが伝わったのか、後頭部に添えられていたライズの手が、すっと髪を撫でるように動いた。
 両の瞼が薄く開いて、宝石のような瞳が顔を出す。まだぼんやりとしながらも、目の前にあるものを確かめるように、ぱちぱちと瞬いている。

(陛下が……起きちゃう……)

 視線が合ったとき、フランの心は弾けて、叫び声を上げてしまった。

「きゃああああ!! こちらを見ないでくださいっ……」

 耳元で叫ばれて思いきり顔をしかめたライズは、すぐに拘束を解いて背を向けた。

「お、大きな声を出してしまい、申し訳ありません……!」

 早口に謝りながら、そそくさと毛布をかき寄せて体に巻きつける。
 むくりと上半身を起こした彼は、ちらりとこちらを見て、ひとりごとのように呟いた。

「そうか、昨夜はあのまま……」

(あのまま!? 果たして、あのままとは……!?)
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