縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
☆☆☆

できれば幸せな結婚をしてみたかったな。
大広場へと移動した薫子がみんなに祝福の言葉をかけられながらそんなことを考えた。

自分が生贄になると宣言してから3日間。
それはあっという間に流れた月日だった。

みんな、一刻でも早く盗賊を村から追い出したい。
そして薫子の気が変わるのではないかとハラハラしての、急ごしらえだった。

大広場では村の男衆が集まっていて、薫子の美しい姿にため息をはいた。
それから軽い宴があり、巫女姿になった千桜と冴子が薫子を外へと促した。

神社はあれど、ちゃんとした巫女はこの村にはいない。
その時々で若い女が巫女の格好をして神事を手伝うことになっていた。

本来の結婚式であれば巫女の舞が見られるのだけれど、今回はそれもない。
薫子は重苦しい雰囲気の中ふたりと共に外へ出た。

その後に続くのは村人たち全員だ。
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