縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
☆☆☆

ひとまず客間に兄弟二人を寝かせた薫子は、菊乃に賽銭泥棒の兄弟だということを説明した。
「そんな兄弟を屋敷へ入れて大丈夫なの?」

「だって、あんなにやせ細ってほっておけないでしょう」
薫子はずっとあの兄弟のことを気にしていたのだ。

切神が容赦なく追っ払ってしまった後、どうなったのか。
再びここを訪れたということは、村から出ていってはいなかったのだろう。

「でも、切神さまもいないのに」
菊乃は気が気ではない様子だ。

神様が留守の時にこんな勝手をして許されるのか、正直薫子にもわからなかった。
だけど背筋を伸ばして「大丈夫よ」と菊乃に言う。

「だって私は神様の妻ですもの。神様がいないときにお屋敷を守るのは私の役目。その私が大丈夫だというんだから、大丈夫なの」
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