縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
☆☆☆

「それで、その子たちをどうする気だ?」
切神が大志と勇をムッとした表情で見下ろして、薫子へ訪ねた。

大志と勇は切神におびえて部屋の隅に逃げて抱き合っている。
「ここで仕事をしてもらおうと思っています」

薫子はなんの躊躇もなく答えた。
切神は昨日まで眠っていたとは思えない回復っぷりで、すでにその威厳を取り戻していた。

切神が倒れているのを発見した時はどうしようかと動揺したけれど、翌日までぐっすり眠ると体力を取り戻したのだ。
一瞬でも切神さまが死んでしまうんじゃないかと不安になったことは、薫子だけの秘密だった。

「仕事は菊乃がしてくれているだろう」
「この子たちには力仕事を。もちろん、もう少し大きくなってからですけれど。それまでは菊乃の手伝いをしてもらいます」
薫子の言葉に切神は大きなため息を吐き出した。

「その考えは変わらないのだな?」
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