縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
やがて外は静かになった。
誰の声も、話声も聞こえてこない。

時々風が吹くのか木々がざわめき、鳥たちが飛び立っていく羽音だけが聞こえてくる。
薫子はやがて脱力してその場に横になった。

白無垢がやけに重たかったけれど、それを脱ぐ気力も体力も残っていない。
ただただ今は眠りたかった。

薫子が作ってくれた栗ご飯の匂いだけを心の支えにして、薫子は目を閉じたのだった。
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