縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
「そうか。それじゃ寝るぞ」
「はい」

薫子の心臓が爆発しそうなほど早鐘を打つ中、切神は当たり前のように自分用の布団に潜り込んだ。
薫子はどうすればいいかわからず、隣の布団へ視線をやったまま動きを止める。

ここは切神の布団に入るべきか?
いや、なにも言われていないのに自分から相手の布団に入るなんて、そんな節操のないことはできない。

でも自分がここに来た理由はひとつだけ。
用事が終われば殺されて終わるはず。

「どうした。早く横になれ」
切神がそう言って隣の布団をトンッと叩いたので、薫子はようやく動くことができた。

隣の布団に潜り込むと、これもふかふかとして心地よい。
目を閉じたらすぐにでも眠りに落ちてしまいそうだ。

そうしている間に切神が3つ飛ぶように踊っていた火をふたつ消して、ひとつにしてしまった。
室内が薄暗くなり、火がゆっくりとふたりの枕元へと下りてくる。
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