縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
☆☆☆

買い物から無事に戻ってきた薫子と菊乃は、予定通り栗ご飯を作って振る舞った。
千桜と冴子も無事に戻ってきて、囲炉裏の炭でさっそく魚を焼き始めている。

「やぁ、いい匂いだなぁ」
そう言いながら家に入ってきたのはこの村の男衆だ。

みんな手に鍬や斧を持っていて、額にはじっとりと汗が滲んでいる。
「盗賊は?」

すぐに薫子が駆け寄って質問した。
「一旦は逃げたから大丈夫だ。それより腹が減って仕方ない」

朝からのら仕事をしながら盗賊も追い立てないといけないなら、動き詰めなのだろう、みんなが口々に空腹を訴えてくる。
薫子たちはすぐに食事の準備を整えた。

「盗賊たちと縁を切ってもらうように何度も願掛けに行ってるが、一向に成果はない」
「縁切りの神様はさぼってるんだ」

「今までこんなことは1度もなかったのに」
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