縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
それはやはり桃やりんごに似ていたけれど、どこか違うようだった。
果汁の多い実は咀嚼する暇もなくとろけていった。
そしてそれを食べた途端、薫子の体に力がみなぎるのを感じて目を見開いた。
「この果物には生命力を回復させる力がある。疲れも吹き飛ぶだろう」
切神に言われて薫子は何度も頷いた。
一口食べるごとに毎日の疲れが嘘のように消えていく。
そのついでとばかりに最近感じていた寂しさも薄れていく気がした。
「おいしい……」
そう言って微笑む薫子を見て切神が安堵したように微笑んだ。
「ようやく安心した笑顔をみせてくれたな」
「え」
指摘されて薫子はここへ来てから緊張の連続だったことに気がついた。
生贄としてやってきたのだから、いつ殺されるかもしれないと恐怖。
その恐怖がようやく払拭されてからも、切神の妻であるという突然湧いてきた緊張感は計り知れない。
果汁の多い実は咀嚼する暇もなくとろけていった。
そしてそれを食べた途端、薫子の体に力がみなぎるのを感じて目を見開いた。
「この果物には生命力を回復させる力がある。疲れも吹き飛ぶだろう」
切神に言われて薫子は何度も頷いた。
一口食べるごとに毎日の疲れが嘘のように消えていく。
そのついでとばかりに最近感じていた寂しさも薄れていく気がした。
「おいしい……」
そう言って微笑む薫子を見て切神が安堵したように微笑んだ。
「ようやく安心した笑顔をみせてくれたな」
「え」
指摘されて薫子はここへ来てから緊張の連続だったことに気がついた。
生贄としてやってきたのだから、いつ殺されるかもしれないと恐怖。
その恐怖がようやく払拭されてからも、切神の妻であるという突然湧いてきた緊張感は計り知れない。