縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
食事を進めながら男衆が神妙な顔つきで会話を続けている。
今日も盗賊を山へ追い立てることはできたものの、完全に出ていってはいないと言う。

このままでは明日もあさっても、枕を高くして眠ることはできない。
被害が大きくなっていくばかりだ。

「今は死者がいないだけまだマシだが、これから先どうなっていくか……」
誰かの呟き声にその場が静まり返った。

誰もが一番心配していたことだ。
盗賊たちの行動がいつ悪化していくかはわからない。

もしかしたら明日、この中の誰かが殺されてしまうかもしれない。
そう考えると薫子の背筋はすーっと寒くなっていく。

「もしかしたら、縁切りの神様は生贄を必要としてるのかもしれないな」
若い男が呟き、一斉に視線が向かった。

男は一瞬たじろいでから「今まで神様が俺たちの願いを無視することなんてなかった。だけど今回は違う。神様は普段のお供えじゃ満足しなくなったんじゃないか?」と、自分の意見を述べた。
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