縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
不意の質問に切神が食事の手を止めて薫子を見た。
「友達?」

「はい。この村で友達を作ればいいと思います」
「千桜と冴子のことを言っているのか? それならふたりとも元気だから安心するといい」

「そうじゃなくて……」
神様自身のことをあんじているのだと言いかけて口を閉じた。

神様はもう何年、何十年、何百年とここにいる。
村のことならなんでも知っている人に友達のことを質問するなんて愚問だったと今更気がついた。

「ご、ごめんなさい。忘れてください」
薫子は慌てて居住まいを正して頭を下げた。

だいたい、神様が人間お友達になるはずがない。
「昔は私にも友達がいた」

意外な言葉に薫子は「え?」と、顔を上げた。
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