縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~
☆☆☆

物音は本殿の外から聞こてくる。
薫子は庭から外へ出てそっと周りこんで確認してみることにした。

あたりはまだ真っ暗で、今日は月明かりも見えない。
薫子の肩には火が乗っていて、幸い周囲を確認することができた。

「おい、もうちょっと奥だ」
「手が届かないよ」

そんなヒソヒソ声が聞こえてきて、薫子は身を潜めながら様子を伺った。
本殿の外にいたのはふたりの男の子だった。

1人は10歳くらいに見えるが、もう1人はまだ5歳くらいだろうか。
ふたりともボロボロに破れたボロ着を身に着けて、そこから伸びた手足は枝のように細い。

髪の毛もボサボサで肌は汚れで真っ黒になっていることがわかった。
こんな子供たちが、こんな時間になにをしているんだろう。

そう思ってもう少し身を乗り出してみると、兄と思われる子の方が賽銭箱を斜めにしているのが見えた。
< 97 / 176 >

この作品をシェア

pagetop